小荷物専用昇降機 ダムウェーターに関する関連法規

クマリフトのダムウェーターを設置するにあたっての建築物に対する法令を以下に記載しています。設計の際、法令等を注意して計画してください。
「1. 建築基準法」、「2. 建築基準法施行令」は『建築基準法及び同法関連法令 昇降機技術基準の解説2014年版』をご参照ください。

なお、「2. 建築基準法施行令」内の「建築基準法施行令及び地方自治法施行令の一部を改正する政令」は、2016年6月1日施行となりますのでご注意ください。

1. 建築基準法

(昇降機)

法第34条 建築物に設ける昇降機は、安全な構造で、かつ、その昇降路の周壁及び開口部は、防火上支障がない構造でなければならない。

解説

建築物に設ける移動・運搬のための設備で、次に掲げる設備は、昇降機に該当しないものとして扱われます。
(1)工場・作業場等の生産設備、又は搬送(荷役)設備として専らそれらの過程の一部に組み込まれる設備で、人が搬器への物品の搬出入に直接介入せずに使用され、かつ、人が乗り込んだ状態で運転されるおそれのない構造となっているもの。

  • ※弊社製品の内、クリーンタイプ・トートベアー・カートベアーで、物品が自動で搬出される場合がこれに該当します。

2. 建築基準法施行令

令109条 防火戸、令112条 防火区画について

エレベーターの乗場戸は、エレ協標準(JEAS-207;旧昭56建告第1111号と同等の基準)に定めた構造とすることにより、平12建告第1369号の例示規定に適合するものとして、60分の遮炎性能があるとされているが、通常時の乗場戸に要求される開閉性能(開閉頻度が高く、かつ、静粛な高速開閉)の面から、遮煙性能を満たす構造が困難であることから、エレベーターの乗場戸の直前又は乗降ロビー等の空間を隔てて、火災時に閉鎖する遮炎・遮煙性能を有する戸、シャッター(有効幅5m以下)、クロス製スクリーン、遮煙性能のみを有するスクリーン等を設けて昇降路の竪穴区画を行うこととされている。

なお、小荷物専用昇降機については、戸を前記JEAS-207に定める構造として0.8mm以上の鋼板製とし、戸当たり部分を難燃性ゴムを用いて相じゃくりとすれば、すき間のない構造として平12建告第1360号による遮炎・遮煙性能を有する防火設備とみなされる。また、出し入れ口の戸は、通常、常時閉鎖状態を保持されているので、「常時閉鎖式の防火戸」として取り扱われる。 ただし、閉め忘れ防止警報装置を備えなければならない。

  • ※弊社の出し入れ口の戸は、JEAS-207に適合した構造です。

(給水、排水その他の配管設備の設置及び構造) 令第129条の2の5(抄)

三  エレベーターの昇降路内に設けないこと。ただし、エレベーターに必要な配管設備の設置及び構造は、この限りでない。

解説

但し、国土交通省告示第570号により光ファイバーケーブル(電気導体を組み込んだものは除く)は設置することができる。

(適用の範囲) 令第129条の3

三  物を運搬するための昇降機で、かごの水平投影面積が1平方メートル以下で、かつ天井の高さが1.2メートル以下のもの。(以下「小荷物専用昇降機」という。)

2.三  特殊な構造又は使用形態の小荷物専用昇降機で国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの第129条の13の規定。

解説

第1項第三号

小荷物専用昇降機は、従来は電動ダムウェーターと呼称していたもので、エレベーターに近似した構造のものであるが、人が乗らず専ら小荷物を運搬するもので、本号に規定された大きさ以下のものである。なお、かご内で運転操作ができる構造としたものは、人を運搬することを想定しているものと考えられるのでエレベーターとなる。小荷物専用昇降機は、人が乗り込まないものであることから、強度等の規定は適用されず、専ら昇降路外の人の安全を守る規定のみとなっている。なお、建築確認の対象とはならないが、主索等の構造上主要な部分の強度に関する設計にあたっては、エレ協標準JEAS-521などが参考となる。また、労働安全衛生法では、床面積1.0㎡以下又は天井高さ1.2m以下のいずれか一方のみに該当するものは簡易リフトと規定しているが、建築基準法ではエレベーターとして扱われる。

(小荷物専用昇降機の構造)令第129条の13

小荷物専用昇降機は、次に定める構造としなければならない。

一  昇降路以外の人又は物が、かご又はつり合いおもりに触れるおそれのない構造とした、丈夫な壁又は囲い及び出し入れ口の戸を設けること。
二  昇降路の壁又は囲い及び出し入れ口の戸は、難燃材料で造り、又は覆うこと。ただし、地階又は3階以上の階に居室を有さない建築物に設ける小荷物専用昇降機の昇降路その他防火上支障のないものとして国土交通大臣が定める小荷物専用昇降機の昇降路にあっては、この限りでない。
三  昇降路のすべての出し入れ口戸の戸が閉じていなければ、かごを昇降させることができない装置を設けること。
四  昇降路の出し入れ口の戸には、かごがその戸の位置に停止していない場合においては、かぎを用いなければ外から開くことができない装置を設けること。ただし、当該出し入れ口の下端が当該出し入れ口が設けられる室の床面より高い場合においては、この限りでない。

解説

小荷物専用昇降機とは、かごの水平投影面積が1㎡以下で、かつ、天井の高さが1.2m以下の小型で人が乗り込まない荷物専用の昇降機で、旧法では電動ダムウェーターと呼ばれていたものである。
なお、通常、出し入れ口の戸は手動の上げ戸や上下戸が用いられ、戸に開閉用の手掛けを設ける。戸を全開したときの下端がかごの天井と同じ高さとするためには、出し入れ口枠の高さは戸の全開時の手掛け位置より高くし、かご天井より高く1.2mを超える場合があるが、天井高さではないので差し支えない。

第一号
荷扱い者等の安全上の見地から、エレベーターと同様に昇降路の構造について定めた規定である。

第二号
本号もエレベーターと同様に昇降路の囲い及び出し入れ口について規定したものである。小荷物専用昇降機の昇降路の壁及び乗場戸の材料は、難燃材料(不燃材料、準不燃材料が含まれる。)とする必要がある。ただし、平12建告第1416号第3に規定する下記の要件のいずれかを満たしている場合には、昇降路及び出し入れ口の材料を難燃材料以外のものとすることができる。
1. 主要構造部を準耐火構造以外の構造とした建築物に設ける昇降路の場合
2. 昇降路のすべての出入口が1の階にあるもの
3. 昇降路のすべての出入口が1の吹抜きのみにあるもの
4. 階数が3以下で延べ面積が200㎡以内の一戸建ての住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸に設ける小荷物専用
昇降機の昇降路の場合
昇降路を防火区画する必要がある場合には、令第112条第1項第二号、第8項、第9項及び第14項の規定に適合したものとすること。

第三号
各階の出し入れ口の戸がすべて閉じていなければかごの運転ができない装置、すなわち、ドアスイッチを設けなければならない。

第四号
小荷物専用昇降機は、専ら荷物を運ぶ昇降機であり、エレベーターに比べて安全装置などの規定が大幅に緩和されているので、絶対に人がかごに乗り込んだり昇降路内に入ることのないようにしなければならない。 本号は、かごがその階に停止していない場合に、出し入れ口の戸を開いて人が昇降路内に入ったり、転落したりすることがないよう、出し入れ口の戸に機械的鎖錠装置を設けなければならないとしたものである。ただし、出し入れ口の下端が床面より高いもの(テーブルタイプ)については、人が昇降路に入り込むおそれがないことから、これを設けなくてもよいとしている。

建築基準法施行令および地方自治法施行令の一部を改正する政令 ※施行日/2016年6月1日

・定期報告を要する特定建築設備等は、次に掲げるものとすること。

小荷物専用昇降機(昇降路の出し入れ口の下端が当該出し入れ口が設けられる室の床面より高いことその他の理由により人が危害を受けるおそれのある事故が発生するおそれの少ないものとして国土交通大臣が定めるものを除く。)

・建築基準法第八七条の二の規定により確認等を要する建築設備に、小荷物専用昇降機(危害を受けるおそれのある事故が発生するおそれの少ないものとして国土交通大臣が定めるものを除く。)を追加するものとする。

解説

フロア型の小荷物専用昇降機/ダムウェーターを「定期報告を要する特定建築設備等」「建築確認申請を要する建築設備」に追加指定するという、建築基準法施行令および地方自治法施行令の一部改正で、平成28年6月1日から施行されるもの。なお、【国土交通省告示第239号】にて、人が危害を受けるおそれのある事故が発生するおそれの少ない小荷物専用昇降機は、「昇降路の全ての出し入れ口の下端が当該出し入れ口が設けられている室の床面よりも50センチメートル以上高いものとする。」と定義されています。

  • ※弊社製品においては、フロア型ダムウェーターは定期報告および確認申請が必要な機種、テーブル型/ユニット型ダムウェーターは定期報告および確認申請が不必要な機種となります。ただし、テーブル型/ユニット型ダムウェーターでも、管轄する自治体によっては定期報告および確認申請が必要となるケースがございますので、詳しくは弊社の担当者までお問い合わせください。

<対象機種「フロア型ダムウェーター」と非対象機種「テ-ブル型ダムウェーター」の見分け方>

対象機種「フロア型ダムウェーター」と非対象機種「テ-ブル型ダムウェーター」の見分け方

  • ※定期報告とは、建築基準法第12条に基づいた制度で、エレベーター、エスカレーターなどを安全に安心して使用するために、所有者・管理者が専門的知識を持った検査資格者(昇降機等検査員)による定期的な検査を行い、その結果を所轄の特定行政庁に報告を行うよう、法律で義務付けられた制度です。

3. 平成20年国土交通省告示第1446号

小荷物専用昇降機の昇降路外の人又は釣合おもりに触れるおそれのない壁又は囲い及び出し入れ口の戸の基準を定める件

建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第129条の13第一号の規定に基づき、小荷物専用昇降機の昇降路外の人又は物がかご又は釣合おもりに触れるおそれのない壁又は囲い及び出し入れ口の戸の基準を次のように定める。

建築基準法施工令第129条の13第一号に規定する小荷物専用昇降機の昇降路外の人又は物がかご又は釣合おもりに触れるおそれのない壁又は囲い及び出し入れ口の戸の基準は、次のとおりとする。

一 昇降機は、次のイからニまでに掲げる部分を除き、壁又は囲いで囲むものであること。

イ 昇降路の出し入れ口
ロ 機械室に通ずる主索、電線その他のものの周囲
ハ 昇降路の頂部及び底部
ニ 保守点検に必要な開口部(かぎを用いなければ昇降路外から開くことができない施錠装置を設けた戸を設けるものに限る。)であって、次の(1)又は(2)のいずれかに該当するもの
(1)出し入れ口の床面から開口部の下端までの高さが1.8m以上であるもの
(2)自動的に閉鎖する戸(当該戸を自動的に施錠する機能を有する施錠装置を設けたものに限る。)を設けるもの

二 昇降路の壁又は囲い及び出し入れ口の戸は、任意の5㎠の面にこれと直角な方向の300Nの力が昇降路外から作用した場合において、次のイ及びロに適合するものであること。

イ 15㎜を超える変形が生じないものであること。
ロ 塑性変形が生じないものであること。

三 昇降路の壁又は囲い及び出し入れ口の戸の全部又は一部(構造上軽微な部分を除く。)に使用するガラスは、合わせガラス(日本工業規格 R3205に適合するものに限る。)又はこれと同等以上の飛散防止性能を有するものであること。

四 昇降路の出し入れ口の戸は、昇降路外の人又は物による衝撃により容易に外れないものであること。

五 昇降路の出し入れ口の戸は、空隙のないものであること。

六 昇降路の出し入れ口の戸は、上げ戸または上下戸とすること。

七 上げ戸又は上下戸である昇降路の出し入れ口の戸は、閉じたときに、次のイからニまでに掲げるものを除き、すき間が生じないものであること。

イ 昇降路の出し入れ口の戸と出し入れ口枠のすき間で6㎜以下のもの。
ロ 上げ戸にあっては、昇降路の出し入れ口の戸と敷居のすき間で、2㎜(戸の敷居に面する部分に難燃性ゴムを使用するものにあっては、4㎜)以下のもの。
ハ 上下戸にあっては、昇降路の出し入れ口の戸との突き合わせ部分のすき間で、2㎜(戸の突き合わせ部分に難燃性ゴムを使用するものにあっては、4㎜)以下のもの。
ニ 二枚の戸が重なり合って開閉する構造の上げ戸である昇降路の出し入れ口の戸にあっては、重なり合う戸のすき間で、6㎜以下のもの。

八 昇降路の出し入れ口の戸は、安全かつ円滑に開閉するものであること。

4. 日本エレベーター協会標準集JEAS-A521小荷物専用昇降機の構造に関する標準

4.8昇降路の構造

(4) ピット下部を居室、通路等に使用する場合は、当該部分に居る人に対する安全対策を講じること。
積載量が50kgを超える場合、ピット床を二重スラブにするか、強度が十分であると計算上確認された床にする。
(5) ピットおよび昇降路内に水が浸入しないよう防水装置を講じること。

4.10機械室

機械室は、次の各号に定めるところによること。

(1) 機械室の床面積は昇降路の水平投影面積以上とし、天井の高さはおおむね1m以上とすること。
ただし、機械の配置および管理に支障がない場合においてはこの限りではない。
(2) 機器の管理に支障のない幅および高さを有する点検口を設けること。
(3) 点検口に施錠装置を有する戸を設けること。
(4) 維持管理に支障のないよう機械室の点検口に至る経路を確保すること。
(5) 他の設備の機械室とは有効に区画されていること。
(6) 点検用コンセントを点検口付近に設けること。

  • ※詳しくは、弊社営業担当者へお問い合わせください。

5. 労働安全衛生法と建築基準法の相違点

労働安全衛生法と建築基準法の相違点

  • ※建築基準法では、簡易リフト、1t未満のエレベーターにつきても原則として、建築確認、完了検査、定期検査報告が必要となります。

簡易リフト

労働安全衛生法 クレーン等安全規則

(定義)
第一条 三 簡易リフト 令第一条九号の簡易リフトをいう。

(適用の除外)
第二条 この省令は、次の各号に掲げるクレーン、移動式クレーン、デリック、エレベーター、建設用リフト又は簡易リフトについては、適用しない。
二 エレベーター、建設用リフト又は簡易リフトで、積載荷重が〇・二五トン未満のもの

(設置報告書)
第二百二条 簡易リフトを設置しようとする事業者は、あらかじめ、簡易リフト設置報告書(様式第二十九号)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。ただし、認定を受けた事業者については、この限りでない。

(定期自主検査)
第二百八条 事業者は、簡易リフトを設置した後、一年以内ごとに、定期に、当該簡易リフトについて、自主検査を行わなければならない。

労働安全衛生施工令

第一条 九 簡易リフト エレベーター(労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)別表第一第一号から第五号までに掲げる事業の事業場に設置されるものに限るものとし、せり上げ装置、船舶安全法(昭和八年法律第十一号)の適用を受ける船舶に用いられるもの及び主として一般公衆の用に供されるものを除く。以下同じ。)のうち、荷のみを運搬することを目的とするエレベーターで、機器の床面積が一平方メートル以下、又はその天井高さが一・二メートル以下のもの(次号の建設用リフトを除く。)をいう。

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